第16話 彫筑動く ▼
前回までのあらすじ----------
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美琴は自分の身の上を彫甲に語り始めた。
美琴はかつて田所の女だった。
田所の資金援助で、今経営している小料理屋を開店したのだった。
しかしやがて田所には若い愛人ができ、関心はその女性のほうに移った。
美琴はもうほとんど田所には相手にしてもらえなくなった。
それでも自由にしてもらえるわけではなく、小料理屋の女将として、田所に飼い殺しにされている状態だった。
そんな折、彫甲が店に来るようになった。
彫甲の客でもある秋吉組の組員が、
「師匠、この前なかなかいい店を見つけたので、ちょっと行ってみませんか?」 と彫甲を誘った。
その組員は美琴が対立する暴力団組長の女であることを知らなかった。