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上野クリニック

浅草 彫やすさんへ伺ってきました!


秋を過ぎてしばらく。まだまだ夏の高気圧は勢力を保ち、街には依然として気怠い暑さが残っている。
この夏最後のにぎわいを見せるここ浅草でもそれは同じだ。もう時刻は夜の九時であるにも関わらず、行き交う人々の額には大小の汗がにじんでいる。
 
さて、浅草という地名でピンときた懸命な方。その通りです。
本日、我々タトゥーナビ編集部が浅草の地を訪れているのは、『浅草彫やす』の取材に他ならない。
業界の内外は勿論の事、遙か海の向こうまで音に聞こえる彫やす氏ではあるが、予習的な側面から、またライトユーザーの為に、彫やす氏の経歴を簡単にご紹介させていただきたい。
 

1953年 兵庫県神戸市生まれ
1973年 岩手県盛岡市の刀剣研磨師、渡辺徹心に弟子入り入門する。
1989年 同県盛岡市にて彫師を志す。
1992年 茨城県に住居、仕事場を移転する。
1996年 東京都台東区浅草にスタジオをオープンする。
2002年 スペインマドリッドタトゥーコンベンションにゲストとして参加。
2004年 アメリカニューヨークタトゥーコンベンションでコンテスト出場。
    -ベスト オーバーオール部門にて1位受賞。
    -ベスト バックオアチェスト部門にて1位受賞。
経済誌Fobesより、日本伝統刺青の現在や今後の在り方などのインタビュー
を受け、2004年9月に世界版、2005年1月に日本版に掲載される。
2005年 中国北京タトゥーコンベンションにゲストとして参加。
2007年 イタリアミラノタトゥーコンベンションにゲストとして参加、コンテスト出場。
    -ベスト カラー部門1位受賞。
    -ベスト ブラック&ホワイト1位受賞。
アメリカニューヨークタトゥーコンベンションに参加、コンテスト出場。
    -ベスト オーバーオール部門1位受賞。
    -ベスト バックオアチェスト部門1位受賞。
 アメリカサンノゼタトゥーコンベンションにゲストとして参加、コンテスト出場。
    -ベスト ボディースーツ部門1位受賞。
2008年 中国大連タトゥーコンベンションにゲストとして参加。
2010年 シンガポールタトゥーアート&カルチャーショーにゲスト&審査委員として参加。


浅草寺の山門である雷門は、氏のランドマークにもなっているのだが、彫やすスタジオは浅草公園六区入り口近く、ちょうど国際通りをはさんで、浅草ROXの対面にあたる。
初対面の我々は緊張を隠せないでいたものの、彫やす氏は仕事終わりにもかかわらず、気さくにスタジオ内を案内していただいた。
 
スタジオに入って、ぐるっとあたりに目を向けると、一面に多くの作品が掲げられている。
無論そこには彫やす氏自身の作品も存在するのだが、氏と交流が深いという他の彫師、絵師の作品を自身のそれよりも多く掲げていた所に、彫やす氏の懐の深さを感じた。
 浅草 彫やすスタジオ
スタジオに入って直ぐの写真。
ところ狭しと、様々なアーティストの作品が見受けられる。

浅草 彫やす
-和洋が1枚の作品に散りばめられている独特の作画の作品。-

浅草 彫やす
-左下に見える画像はもしかして・・・ -

浅草 彫やす 施術室
-こちらが施術室。-

過去には、筋彫りはマシン、ボカシ等は手彫りと技術を使い分けていたそうだが、自作のマシンの改良を重ね、現在では全ての行程をマシンで行うのだそうだ。
この息を呑むような作品を見て分かる通り、伝統図柄において、手彫りが一方的に有利であるようには感じられない。

正直な所、巨匠を前にして体が硬くなっていた我々だが、終始にこやかな彫やす氏にほぐされる格好で、少しづつ平静を取り戻すことができた。

スタジオの中で、お固い質疑応答のようなインタビューをするのではなく、
行きつけの所があるからそこで食事をしながらでも話をしよう。


今まで多くの取材を受けたが、皆気を使ってるのか、どこも同様に堅苦しい感じで掲載されてしまう。
真剣な顔をしている所ばかりがメディアに散見されるが、本当の所はもっと自分は気楽な人間である。
あんまり気を使われるとこっちがつまらないから、取材はもっと気楽にいこうよ。
 
要点を訳すると以上のような事を告げられると、氏の行きつけである店に移動し、そこでご挨拶を兼ねた、インタビューを開始させていただく事となった。

店は西浅草のあな太郎という所。あなご料理と大分豊後料理の店で、彫やす氏や関係者の方達はずいぶん通われている様子だった。
 
確かに穴子料理は美味。大分というと関サバや関アジ、カボス等が有名だが、豊後の穴子がこれほどおいしいとは知らなかった。
 
そんな郷土料理に舌鼓を打ちつつ、彫やす氏は何よりも好きというワインを片手に、様々なお話をお伺いすることができた。
 
笑い話を続けるうちに、所詮、我々が知っていたのは造られた彫やすというアイコンだったという事に気付く。
 
これまで"彫やす"を取り上げるメディアは数多くあった。
 
真剣な顔で業界の未来を語り、そして伝統和彫りを世界に発信し、数多くのコンベンションで活躍する。
確かにその全てが正解であり、和彫りの浅草彫やすとしてのイメージは決して間違ってはいないだろう。
 
しかし、我々が取材をした浅草彫やすのイメージ。
それは、気さくなワイン好きな人。
 
ワインに関しては、彫やす氏は様々なものを口にするという。
種類や、山地等にもこだわりなく、どんなワインよりもツマミが大事なのではと思ってしまうほど彫やす氏は若輩の我々に様々な事を語ってくださった。
 
ちなみに彫やす氏の当日の服装はすべてを語る必要はないのだが、一言で言えば非常にお洒落であった。
時計のセレクトセンスも
"刺青" “和彫り”という文化を追求している彫やす氏の腕に、業界内の異端児でもあるとされる、某ブランドの時計が装着されていた理由を深読みするのは考え過ぎだろうか。
 
さて、前述のとおり、インポートブランドをサラリと着こなす彫やす氏だが、当然日本文化への造詣は深い。
造詣が深いというよりは、愛情が深いというべきだろうか。自国の文化に対するリスペクトがあってこそ、世界のブランドや文化への見識が深まるのだろう。氏と接していると、そんな考えを持つに至る。
 
「以前、白の大島紬をサラっと着流し風に来て浅草を歩いていたんだけれども、びっくりするぐらい、みんなに異様な目でみられるんだよね。
一人だけすごい品の良い私より年配の旦那さんに”生業は何をされているんですか?”と聞かれたぐらいかなあ。
着物なんて日本の伝統的な文化だろうに、ここ浅草でのこの様に見られ心底驚いたね」

大島紬を纏う、彫やす氏
ー大島紬を纏う、彫やす氏。
 彫やす氏を取り囲むのは、日本のタトゥー業界の立役者でもある、
 タトゥーバースト・タトゥートライバル編集長をはじめ、出版社の代表など錚々たるメンバーである。-

そう言いながら、日本の伝統文化の衰退とも取れる現実を憂いていた氏が印象的であった。
若干二十歳にして刀剣研磨師を志すくらいであるから、当然並々ならぬ思いがあるのだろう、文化的な側面から刺青を語る彫やす氏は熱い。
 
彫り物のモチーフとして登場する人物だけでなく、その時代背景から当時の絵師にまで、"勉強"を重ねてきた結果なのかも知れない。
 
 
終始にこやかに笑い話を伺いながら、時には真面目な話を拝聴するうちに、結果四時間くらいご一緒させていただいたのだが、前述のとおり、細かい技術面に関してのQ&Aはない。
 
それよりも"彫やすという人物"に重点を置いた取材になった事をご理解いただければと思う。
と言っても、結局細かい技術面に関して色々書かれていたとしても、私自身も同様だが、所謂"彫られ師"の私達や、一般的なこのサイトのユーザー達にとってはそれ程有益な事でもないのでは?と自己弁護をしておく。

おまけという訳ではないが、普段聞けないような質問をいくつか。

写真で見た方はご存知かとは思うが、彫やす氏は背中にしか刺青が入っていない。

高名な彫師で背中のみの刺青というこの稀有な例に関して理由を聞いた。
-それは単に彫るタイミングがなかっただけ(笑)でも私は真夏でもTシャツ着れるから良かったと思う。私がこんなこと言うのもおかしな話だけど、若い子たちにはTシャツ着れなくなるぞと伝えて欲しいね。
もちろん、依頼があれば彫ることは彫るのだけれども、しっかりと刺青を入れる際には考えて欲しいと思うよ。-
 
インターネット上にある、彫やすはワンポイントや洋彫りは受けない、という事も理由を聞く。 
-全くもってそんなことはないですよ!
ただし、昔は1年近い期間を最初のヒアリングの時点で予約して貰っていたため、
空いている時間が非常に少なかったんだよ。
結果的に、何回も彫りに来て頂くお客様でいっぱいになってしまっていただけでワンポイントでもお断りすることはありません。 
洋彫りNGって言うのもどこから出た話なんだろうなあ。
ただ私の制作しているマシンが、 筋用もぼかし用もスピードが遅く、叩く力が強いので、体にインクがたっぷり残り、手彫の風合いを活かすようにセッティングしているので、小さなワンポイントのTATTOO的なモチーフに向いていないのは確かだね。
そこからNGみたいに曲がって伝わったのかな。
最近は、いわゆる洋彫りを希望されるお客さんがいる時は、スリータイズタトゥーのムツオ君なんかがゲストワークとして彫ってくれたりしている。
スリータイズタトゥーさんは、15年近いキャリアがあるタトゥースタジオでもあり。
個人的にも、MASAさんとは付き合いがあり非常に信頼できるスタジオだと思っている。
今後はよりスリータイズタトゥーの彫り師を招いたゲストワークや、海外アーティストのゲストワークなどにも力を入れていこうと思っているね。-

MUTSUO氏
THREE TIDE TATOOのMUTSUO氏
 
彫やす氏はしきりに、
”そんなに敷居が高い所のように感じないでほしい。名前が売れたからといって、アレは駄目これは駄目と言うつもりは毛頭ないし、そういう人間にはなりたくない” と仰っていた。
 
新規の受付に関しても、
-相当待たされるように思われているけど、明日空いてるんだよな(笑)-
との事だ。
 
既製のイメージに二の足を踏んでしまっていた方も、これを機会にアポイントを取ってみてはいかがだろうか。
 


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 ゲストワークのお問い合わせは
Asakusa Horiyasu Studio:03-3843-3554
メールアドレス:kyousuke3@me.com
浅草 彫やす:03-3843-3444
※電話番号は別になっているのでお間違い無く
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-末筆ながら、彫やす先生をご紹介頂いたS氏に感謝致します-。

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